この記事では、潜伏感染者も含めた日本での新型コロナウイルス感染者数を3つの方法で推測してみました。あくまでも個人的な見解を元に、簡易計算モデルで計算した結果です。この推測値を信じるかはご自身で判断してください。ご意見やごアドバイスがございましたら、ぜひコメントください。
この記事は、感染者数の推測や計算方法に関する記事です。公表される最新の感染者数や死亡率などを確認したい場合、
[新型コロナ(COVID-19)日本と世界各国の最新状況] は、こちらをご覧ください。
前書き
世界各国は、PCR検査などの方法で確認された感染者数を公表しています。
日本の感染状況(厚労省のサイト)
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/houdou_list_202002.html
韓国の感染状況(KCDCのサイト)
https://www.cdc.go.kr/board/board.es?mid=a30402000000&bid=0030
公表された「PCR検査陽性者」は、実際の感染者数でしょうか?
もちろん、そうでないと思います。
PCR検査陽性者は、あくまでも実際の感染者の中の一部分です。
発症したがPCR検査を受けてない人、感染されたが発症していなく潜伏期間になている人など、「潜伏感染者」と呼ばれる人もたくさんいるでしょう。
ここでは、「実際の感染者数 = PCR陽性者数 + 潜伏感染者数」とします。
潜伏感染者からうつされることは、新型コロナウイルス対策困難の原因です。
日本では実際の感染者数は何人になるか、
自分の周りにどのぐらいの確率で感染者がいるのは知りたいですが、
調査結果がないため、正確に把握できない状況です。
以下には私個人の考えで推定した数字を書きますが、
あくまでも個人的な意見ですので、参考程度にしてください。
方法1)MOBS LAB予測モデルの結果を用いて実際の感染者数を推測
MOBS LABは米国の東北大学(Northeastern University)などの機構が運営しているバイオ技術のモデリング研究室です。
MOBS LABの 2019 NCOV サイト
https://www.mobs-lab.org/2019ncov.html
MOBS LABは、中国武漢市の人口密度や人口流動状況のモデルを用いて、武漢市の潜伏感染者も含めた実際の感染者数をシミュレーションしました。そのシミュレーションの結果は、その後武漢市の感染者数推移とだいたい合ってますので、ここではMOBS LABの推測値を参考にします。
MOBS LABの1月20日〜1月24日のレポートに記載されるシミュレーション結果、武漢市の実際の感染者数の中位値を下表の「Estimated」列にまとめます。
また、中国政府から公表された確認済みの感染者数を「Comfirmed」列にまとめます。
Estimated / Comfirmedを計算し、その平均値は15.8となります。
大まかに、感染拡大期の武漢市の実際の感染者数は、おおよそ公表された感染確認者数の15.8倍と考えます。
もし他の地域の感染拡大期の状況も似たような傾向と考えて、同じ倍率を他の地域にも適用できるとしたら、各地域で公表された感染者確認数*15.8で、実際の感染者数を推測できるでしょう。
そう考えますと、2月29日 19:00時点、厚労省から公表された日本の感染確認者数(退院と死亡除く)は208人であり、実際の感染者数= 208 * 15.8 = 3286人と計算します。
しかし、この推測方法に制限事項や課題もあります。
- 中国武漢市をモデルケースにしているが、日本の状況は武漢市ほど酷くはないでしょう。
そのため、この方法で推測した人数を、推測値の上限と考えます。 - 国によって感染者数公表の方針が違うと、結果も違うはずです。
- 感染拡大期ではPCR検査が十分に追いつかないため倍率が大きいです。安定期に入って十分にPCR検査ができれば、この倍率が小さくなるはずです。
方法2)日本と韓国のPCR検査率を比較して感染者数を推測
極論として、国民全員に対してPCR検査を実施すれば、正確な感染者数を把握できますが、それは不可能のため、国によって対応方針が違います。
日本でのPCR検査を受ける条件が厳しく、PCR検査の人口比率はとても低いので、公表された感染確認者数と実際の感染者数の乖離が大きいと考えます。
それに対して、韓国でのPCR検査条件が低く、世界中でもPCR検査の人口比率は高いです。韓国の公表感染確認者数は、より実際の感染者数に近いと考えます。
そして、まず日本も韓国と同じレベルのPCR検査を実施したら、どのぐらいの感染者数になるかの視点で、考えていきます。
以下は厚労省サイトで公表された2月28日時点の「日本」のPCR検査状況です。
以下は韓国KCDCサイトで公表された2月29日時点の「韓国」のPCR検査状況です。
日本と韓国の2月28日〜29日のPCR検査の状況とその結果を下表にまとめます。
また、1月24日時点の中国湖北省のPCR検査状況も参考として入れています。
この表から見ますと、韓国の人口検査率 = 総検査数 / 総人口 = 16.71に対して、日本の人口検査率は 0.18 しかなく、100倍に近い差があります。
そうすると、日本の実際の感染者数は厚労省公表感染確認者数の 100 倍になるでしょうか?
そうではないと思います。
厚労省のPCR検査方針は、感染された確率の高い人に対して検査を実施しています。
日本全国の国民という母集団から検査する標本を抽出するときに、厚労省はその中の上位0.18人/万人を抽出しています。それでもPCR陽性割合(感染確認数 / 総検査数)は9.51%にすぎません。
それ以外の人に対してPCR検査を実施したとして、陽性の割合はもっと下がるはずです。
そして、今回はPCR検査の実施を自由度1のカイ二乗分布と仮定します。
日本での人口検査率を現在の2倍に拡大しても、PCR陽性の人数(感染確認者数)は現在の1.5倍にしか増加しないと仮定します(推測1)。このように、さらに検査範囲2倍ずつ拡大したら、推測4になると、PCR陽性割合(感染確認数 / 総検査数)は韓国より下回ります。
推測4の値は、韓国KCDCの公表感染者数の信用レベルに近いと考えます。
しかし、韓国KCDCも国民の一部に対してしかPCR検査を実施していないため、実際の感染者数はそれよりも多いはずです。検査受けてない人の中に、感染者数はどのぐらいいるかは、全く未知な部分になるため、推測難しいです。ここでは、乱暴に、KCDC公表感染者数の 1.5倍と考えます。
つきまして、この方法では、2月29日時点、日本の実際の感染者数は1595人、厚労省公表感染確認者数の 7.59 倍と推測します。
方法3)重症と死亡者数の割合から感染者数を推測
日本ではPCR検査率が低いため、直接感染者数を観測していない状況ですが、重症や死亡者数は正確に把握しています。そして、重症や死亡者数から感染者数を推測するのも一つの方法だと考えます。
日本ではもっとも観測できているクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」を例とします。
こちらの新聞記事により、2月21日時点で、クルーズ船の状況は以下です。
- PCR検査陽性判定:634人
- そのうち重症:20人以上
- そのうち死亡:2人
上記データで計算しますと、感染者数は重症者数の31.7倍、死亡数の317倍となります。
日本国内の状況を、前述厚労省サイトで公表された2月28日時点の「日本」のPCR検査状況から確認します。
- PCR検査陽性判定:210人
- そのうち重症:20人
- そのうち死亡:4人
日本国内の重症者数 20人 * 31.7倍で計算すると、634人の感染者と推測します。
日本国内の死亡者数 4人 * 317倍で計算すると、1268人の感染者と推測します。
この計算方法自体は、母数が少ないため精度低いと思いますので、日本国内には、少なくとも634〜1268人の感染者がいてもおかしくないと考えて頂ければと思います。
結論
上記3つの方法うち、方法2)日本と韓国のPCR検査率を比較して感染者数を推測は一番現実意味があるかと思いました。
方法2の推測結果は方法1と方法3の間ぐらいで、この方法によりますと、2月29日時点、日本の実際の感染者数は1595人、厚労省公表感染確認者数の 7.59 倍と推測します。
下記のサイトでは、新型コロナウイルスの世界各国の感染状況をリアルタイムに確認できます。
[VirusTrend] 新型コロナウイルスのリスクをリアムタイムに把握
上記サイトでは、以下の数式を用いて計算しています。
感染人口密度
= 現在感染者確認数 * 推測感染者倍率 / 地域の人口
その中の潜伏感染者倍率は、方法1で計算した 15.8倍という倍率を適用しています。
もちろん過大評価になっている可能性はありますが、リスクに対して、軽視されるよりも、少し重視した方が被害を抑えられると考えますので、割に高い倍率を適用しました。
[3/10追記]
ウイルス感染の進行状況と各国のPCR検査率の変化を考慮して、3/10以降上記サイトの推測感染者倍率を方法1の16.5倍から、方法2の8.0倍へ変更しました。方法1より方法2の方が適切と考えた理由は以下です。
- 世界中の感染状況が発見早期から拡大期へシフトしているため
- 日本など世界各国のPCR検査率が改善したため、方法1は過大評価になっている
今日の記事は以上です。
ご興味やご質問がございましたら、ぜひコメントください。